ドメイン境界の最適化法:domain boundary optimizer (http://www.mbs.cbrc.jp/coiled-coil/)
NMRでタンパク質の立体構造を決定しようとすると、あまり大きな分子量のタンパク質は解析できません。そのため、多くのNMR構造生物学研究は、まず、大きなタンパク質を自律的な立体構造を持つ部分であるドメインに分割して、そこだけを大腸菌などで発現した試料を利用して、構造解析を進めます。
そうしたとき、しばしば問題となるのが、ドメインとドメインの切れ目や、ドメインとリンカーの切れ目です。ここを上手に設計してやってこそ、美しいHSQCスペクトルが得られ、3D-NMRも良好な感度で測定でき、立体構造決定がスムーズに進むのです。私たちは、バイオインフォマティクス手法でドメイン境界を決定するときに、しばしばコイルドコイル領域がドメイン境界の内側と判定されてしまうことにより、単離したドメインがNMR試料内で自己会合して、HSQCスペクトルが台無しになる、ということを経験してきました。
そこで、ドメインの末端にコイルドコイルが出現した場合に、その規則性を破壊して自己会合を起こしにくくする変異体を、自動的に設計するサーバーを、産総研の富井博士と共同で開発しました。
J Biomol NMR. 2007 Jan;37(1):53-63. Epub 2006 Dec 16.
Fine-tuning of protein domain boundary by minimizing potential coiled coil regions.
Iwaya N, Goda N, Unzai S, Fujiwara K, Tanaka T, Tomii K, Tochio H, Shirakawa M, Hiroaki H.
[pubmed]