「ゲノムプロジェクトがいろいろな生物で完了し、生命の設計図がほぼ明らかになったのに、どうして医学にも生命科学にもめだった革新が見られないの?」
こんな疑問をもったことはありませんか?私たちは、生物学・生命科学に、いまこそイノベーションが必要だと感じています。
構造生物学というのは、あくまで「構造解析」を手段とする生物学のことであり、学問的パラダイムのことです。私たちが注目している、新しい生物学の潮流として、次の3つのキーワードに注目しています。
1.ケミカルバイオロジー:細胞内の遺伝子や蛋白質と、それと相互作用する低分子化合物の両方を研究対象として、全体をとらえたり新たな制御法を開発したりする学問。
2.システムスバイオロジー:細胞内の複数の遺伝子や複数の蛋白質とそれらが関与する複雑な生物学的イベントを、システムとして捉えてモデル化して理解する学問とその考え方。
3.シンセティックバイオロジー:既知の遺伝子や蛋白質や蛋白質ドメインを部品として、新しいフィードバック回路や分子複合体を細胞内に構築することで、「作ることからメカニズムを理解する」生物学の手法と考え方。
こういった新しい生物学を推進していくときに、それらの標的要素となる蛋白質の立体構造や相互作用残基があらかじめわかっていると、もっと面白い研究ができそうです。